泌尿器科疾患とは

2024年11月1日号
土浦市医師会 飯村研二(かすみファミリークリニック)

 泌尿器科疾患とは、腎臓・尿管・膀胱・前立腺などの尿路組織から発生する病気を言います。尿管結石など若い方でも悩まされる疾患に始まり、前立腺肥大症や過活動膀胱などの下部尿路機能障害、前立腺・腎臓・膀胱などの尿路系に発生する悪性疾患(がん)など、加齢に伴って発症率の上昇する疾患が例として挙げられます。

 下部尿路機能障害では、年齢の他にも高血圧や糖尿病などの生活習慣病が原因になり得るため、内科的治療も重要です。夜間頻尿を訴える方が多く、患者さん自身の生活の質に非常に影響を及ぼすものです。加えて、加齢に伴い虚弱(フレイル)状態の方が増加していますが、夜間頻尿による転倒での骨折リスクは高まりますし、認知機能の低下に繋がるとの研究結果もあります。「トイレが近いだけ」と軽視せず、一度専門医へ相談することをおすすめします。

 また、昨年の部位別予測がん罹患者数によると、男性では前立腺が一番多く、年間9万8千人を超えます。前立腺がんは、血液検査によりPSA(前 立腺特異抗原)というタンパク分解酵素の上昇を確認することで診断可能です。血縁者に既往歴があると罹患のリスクは2〜5倍に上昇すると言われているので、このような方は特に、また50歳を超えたら皆さんに、前立腺がん検診を積極的に受けていただきたいと考えます。