夜間、何度もトイレで起きる
2022年1月18日号
土浦市医師会 石川哲生(土浦泌尿器科クリニック)
夜間、排尿のために何度も起きなければならない症状を夜間頻尿といいます。夜間頻尿は排尿に関わる症状の中でも頻度が高いもので、若い人では10~30%に、お年寄りでは40~80%に認められ、加齢とともに回数が増えることが報告されています。
特に、夜寝ている間に2回以上トイレに行く頻尿は、睡眠不足になる、また寝ぼけてトイレに行くことで転倒や骨折につながるケースもあり、治療の対象になります。ただ、年齢や性別・生活様式・認識の差により生活への影響の程度が異なるため、生活に支障がないのであれば必ずしも治療が必要なわけではありません。
夜間頻尿の原因は、大きく次の3つに分類されます。
・多尿
寝ているときの尿量が多くなるために、夜間トイレに何度も起きる。水分過剰摂取、うっ血性心不全、腎機能障害など。
・膀胱容量の減少
少量の尿しか膀胱に貯められず、過活動膀胱や前立腺肥大症、膀胱炎などで膀胱が過敏になるために起こる。
・睡眠障害
トイレに行きたいから目が覚めるのではなく、眠りが浅くて目が覚めてしまうためにトイレに行く。
検査は、問診、尿検査、超音波検査での残尿測定、排尿日誌など、痛みをともなわない検査が主です。排尿日誌は、朝起きてから翌日の朝まで、排尿した時刻と排尿量を日記のように記録するものです。1回の排尿量と排尿回数、1日の排尿量を知ることができ治療の参考になります。
治療については、夜間多尿や膀胱容量低下などの原因はさまざまですので、病態に応じた治療方法を組み合わせて治療します。
夜間頻尿の治療は難しいこともありますが、運動療法や適切な生活整備、前立腺肥大症や過活動膀胱に対する薬物治療で改善する方も多くいらっしゃいます。
お困りの方は医療機関にご相談ください。