頭痛について
2021年7月15日号
土浦市医師会 片山亘(県南病院)
頭痛は脳神経外科外来を訪れる患者さんの主訴の中で最も多いものの一つです。頭痛は一次性頭痛(機能性頭痛)と二次性頭痛(症候性頭痛)の大きく2つに分類されます。
●一次性頭痛
頭痛そのものが病気である頭痛。片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛のように繰り返し起こる慢性頭痛。
●二次性頭痛
脳や他の疾患が原因となって起こる頭痛。外傷後や薬剤使用過多など、他にくも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎など命に関わる頭痛も含まれる。
突然起こった頭痛で、これまでに経験がないひどい頭痛、突発して短時間でピークに達するような頭痛、また発熱を伴ったり、手足の麻痺やしびれがあったりする場合には二次性頭痛の可能性が高く、至急病院を受診して正確な診断・治療をうける必要があります。また頭痛が数週間のうちに悪化してくるような場合には、脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などの可能性もあるので、注意が必要です。
数年以上前から同じような頭痛を繰り返している場合は慢性頭痛で、生命の危険はないことが大部分です。慢性頭痛の患者数は全国で約3000万人(成人)にも達し、日本人の40%は慢性頭痛に悩んでいるというデータもあります。
片頭痛治療に関しては、急性期治療、予防治療の2種類があります。頭痛発作が起こった時に、なるべく早く頭痛を鎮めるための治療法が急性期治療であり、特異的治療薬であるトリプタン製剤の登場により、片頭痛の診療は劇的に変化しています。予防療法は、頭痛発作を起こりにくくし、発作が起こった場合でも軽く済むようにするための治療であり、最近では既存の予防治療薬で効果がない方でも有効性を見込める、新規の皮下注射剤(抗CGRP抗体)が使用可能となりました。
突発的な頭痛・慢性頭痛いずれにおいても、的確な診断・有効な治療のため、早期の脳神経外科・神経内科・頭痛専門外来などを受診されることをお勧めします。