脳卒中について

2018年1月16日号
土浦市医師会 小寺実(サンルーナ小寺内科クリニック)

 脳卒中は、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血の3つのタイプに大別されます。脳梗塞には、アテローム血栓性脳梗塞、脳塞栓およびラクナ梗塞があります。脳梗塞の前駆症状として一過性脳虚血発作(TIA)があります。脳出血は、大部分は高血圧性脳内出血です。クモ膜下出血は、脳動脈瘤の破裂により起こります。
 突然の激しい頭痛で発症するクモ膜下出血は、MRIとMRAの普及で簡単に診断でき、CTより正確です。部位や性状により動脈瘤はクリッピングやコイル塞栓術で治療します。
 脳卒中の症状は、障害される脳の部位により決まります。片側の手足が動かない、呂律が回らない、言葉が通じない、めまい、意識障害、物が二重に見えるなどです。TIAでは、このような症状が一過性に起こります。一過性黒内障は、TIAに分類され、片眼が見えなくなります。TIAの10-15%は3ヶ月以内に脳梗塞を起こし、その半数は2日以内に起こります。
 アテローム血栓性脳梗塞は、脳の動脈硬化が原因で起こります。発症後に症状が進行する場合が多く飲酒や脱水が引き金になります。動脈硬化の促進因子である高血圧、糖尿病や脂質異常症の治療は脳梗塞の予防に有用です。
 ブランチアテローム病(BAD)は、ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞の中間にあるタイプの脳梗塞で、最初は軽い半身不随ですが数時間後には全く動かない状態になります。脳塞栓は、非弁膜症性心房細動による左房血栓や下肢静脈血栓が卵円孔を経由して脳動脈に詰まり突然に発症します。ラクナ梗塞は、高血圧と関係が特に深く、穿通枝と呼ばれる細い動脈の動脈硬化により起こります。
 脳出血は、高血圧が原因です。降圧薬の服用で無くすことは可能ですが、土浦周辺の脳卒中の30%が脳出血ですので残念でなりません。
 脳梗塞は発症4.5時間以内であればt-PAの静脈内投与が可能です。血管内治療により詰まった血栓を除去できるような時代になりました。脳梗塞治療は、時間との戦いです。発症したら救急車を呼んでください。