狭心症について
2017年1月17日号
土浦市医師会 小關剛(つちうらハートクリニック)
狭心症、心筋梗塞などは虚血性心疾患と呼ばれ、心臓を養う冠動脈の動脈硬化により血管の内腔が狭くなり、血液の流れが妨げられて生じる病気です。
冠動脈が閉塞すると心筋は壊死に陥ります。これが心筋梗塞です。最近の医学の進歩で急性心筋梗塞の死亡率は減少していますが、現在でも5~10%程度発症すると言われています。急性心筋梗塞は多くの場合、胸部の激痛、絞扼感(締めつけられるような感じ)、圧迫感として発症します。胸痛は30分以上持続し冷や汗を伴うことが多く、重症ではショックとなります。胸痛の部位は主に前胸部に現れますが、下顎、頸部、左上腕、心しんかぶ窩部に放散して現れることもあります。ただ、高齢者や糖尿病の患者さんでは無痛性のこともあります。
急性心筋梗塞は前記のような特徴的な強い持続性の胸痛と、心電図の所見、血清酵素の上昇から診断されます。心電図検査は簡便ですが、急性心筋梗塞の診断に極めて有用です。心エコー検査も他の病気との鑑別に有用です。
急性心筋梗塞の治療では、梗塞の範囲が広いほど予後が不良になるので、早期(一般的には12時間以内)に詰まった冠動脈を再開通させる治療(カテーテル治療)が重要です。薬物治療としてアスピリンなどの抗血小板薬、降圧剤、利尿剤なども一定の効果があります。高コレステロール血症、高血圧、喫煙、糖尿病、肥満、痛風、中性脂肪、運動不足、精神的ストレスなどはすべて心筋梗塞を発症される危険因子となりますので、生活習慣を是正して、長期予後の改善を図る必要もあります。命に関わる重症な病気なので、前記のような強い胸痛があればすみやかに救急車で専門医の診察を受けることが大切です。