食中毒に気をつけましょう

2006年5月16日号
土浦市医師会 野上厚(野上病院)

 食中毒の発生件数の70%近くは細菌によるものですが、その主なものを、頻度が多い順に紹介します。
●腸炎ビブリオ
 海水などに住む好塩菌で、水温が15度を越えると繁殖します。この菌が付着した魚介類を刺身や寿司など生で食べたり、また冷蔵庫やまな板、包丁、人の手などを介して二次感染を起こします。
●サルモネラ
 鶏、牛、豚、犬、猫、蛇、カメ、ネズミなど多くの動物の腸内や、下水、河川など自然界に広く分布しています。菌に汚染された卵や食肉を、生食や加熱不足のまま食べたとき発症します。
●ブドウ球菌
 人の鼻、咽頭などにいて化膿部から調理者を介して食品に入り込み、汚染の原因になります。ブドウ球菌自体は熱に弱いのですが、作り出される毒素は100℃で30分の加熱でも活性が失われません。
●カンピロバクター
 鶏、牛、豚、犬、猫その他のペット類の腸内に生育し、その排泄物で汚染された肉や水あるいは手が感染源となります。
●病原性大腸菌
 O157に代表される腸管出血性大腸菌は、家畜の腸管内に存在し、その糞便などで汚染された食肉、野菜などが原因食となります。
●ボツリヌス菌
 土壌ひ広く分布し、無酸素状態で生育する細菌なので、ハム、ソーセージ、瓶、缶詰や真空パックした保存食品が感染源となります。
 ほかにもたくさんの細菌が存在しますが、いずれにせよ食中毒予防のためには、
(1)よく手や食材(野菜、魚介など)を洗う。
(2)加熱して菌を殺す。
(3)菌を増やさないために冷蔵庫や冷凍庫に保存する。
(4)調理器具や台所用品に菌をつけない(二次感染を防ぐ)ことが重要です。