腰部脊柱管狭窄症
2013年1月15日号
土浦市医師会 菊池一郎(菊池整形外科クリニック)
日本人の10人に1人が腰痛を訴えているという報告があります。そんな身近な腰痛の話題で、最近よく耳にするのが腰部脊柱管狭窄症です。腰や足にしびれ、痛みを感じる、特に歩きはじめると足のしびれや痛みが強くなってきて歩きにくくなる。あるいは背筋を伸ばして立っていると腰からふともも、ふくらはぎにしびれや痛みが強くなって立っていられなくなる。また、前かがみの姿勢で休むと楽になるという症状が特徴です。
これは、腰椎には脊柱管という脊髄が収まっている管があり、加齢による脊椎の変形や椎間板ヘルニアにより腰椎にある神経や神経に栄養を送っている血管を圧迫することが原因です。また、足のしびれや痛みでは、閉塞性動脈硬化症という血管の詰まりから起こる病気との鑑別も必要となります。
基本的な治療は、薬物療法や神経ブロック、理学療法、コルセットなどの保存療法となりますが、それでも十分な効果が得られない場合には手術も考慮しなければなりません。一般的な手術は椎弓切除といい、神経の圧迫をとるものです。入院は2週間程度ですが、詳しいことは医師に相談してください。
また、腰部脊柱管狭窄症という病気は日本国内で360~580万人いると発表されています。日常生活の工夫として、前かがみの姿勢になると神経への圧迫が緩和されますので、杖や手押し車の利用、背もたれを立てた姿勢に戻し足を組んでみる、同じ姿勢で長時間いない、寝るときは横向きになり背中を丸めるなど症状を軽くする工夫をしてみましょう。