うつ病

2012年5月21日号
土浦市医師会 塚原靖二(厚生病院)

どんな病気なの?
 うつ病は、気分を調節する脳機能の低下による病気です。女性に多く、10人に1人はうつ病になる可能性があり、20代と50代の方に多く認められます。表情が暗い、涙もろい、反応が鈍い、飲酒量が増えるなど兆候があり、その後、「生活にはりが無い」、「何も楽しめない」、「おっくうで仕方ない」、「自分は役に立たない」、「わけもなく疲れる」など症状が2週間以上続きます。うつ病は大きく二つのタイプに分けられます。ひとつは一次性うつ病で、几帳面で責任感が強く物事の秩序を大切にする性格の方が、失恋、近親者の死、退職などの喪失体験をきっかけとして発症します。もうひとつは、二次性うつ病で、長期間服用している降圧薬、ステロイドホルモン薬、胃潰瘍薬、免疫抑制薬などの薬剤や、パーキンソン病、脳卒中などの病気が原因で発症するうつ病です。

治療法は?
 悩みや症状について、話を聴くだけでも、気分は楽になります。うつ病は脳機能の一時的な低下であり、必ず回復することを告げます。早く回復するためには、心身の休養をとること、きちんと治療を受けることが必要です。うつ病になると「認知の歪み」が生じ、すべての事を悲観的・否定的に考え、すべて自分の責任であると考えてしまいます。「善は急げ」では無く、「待てば海路の日和あり」、「果報は寝て待て」的に考えるようにしましょう。また、何が悩みの種となっているのか、ストレスを自覚し、それを軽減する対策が重要です。
 治療薬としては、抗うつ薬・抗不安薬・睡眠導入薬が有効です。抗うつ薬は、SSRI、SNRIが主流で、これらはセロトニン、ノルアドレナリンなどの脳内神経伝達物質に作用して効果を発揮します。しかも眠気・ふらつきなどの副作用が少ない優れた薬です。しかし、抗うつ薬は即効性が無く、効果がでる前に自ら服用をやめてしまうことがあります。また、うつ病になると、薬の効果についても否定的、懐疑的となり服薬を中断してしまうこともあります。薬の効能について理解したうえ、一定期間は服用し続けることが大切です。