手の多汗症について

2024年10月1日号
土浦市医師会 鶴町宗大(つくば・土浦鶴町皮膚科クリニック)

 多汗症は、汗を多量にかいている状態で、特に、精神的に緊張するときに症状が現れやすいと考えられています。そのなかでも手の多汗症は、小学校の就学時など比較的早い時期から自覚することが多いとされています。症状がひどい場合は、手は絶えず湿っており、汗が滴り落ちることも多々あります。その結果、汗疹(あせも)や、水虫などの真菌感染、ウイルス性イボなどができることがあります。

 また、握手、授業中、試験中、パソコンの操作などの際に支障が生じてしまい、学校生活や社会生活での大きな悩みに繋がることがあります。治療方法として、これまでは抗コリン内服薬や塩化アルミニウム外用療法、水道水イオントフォレーシス療法を行い、効果が不十分な場合にはボツリヌス菌毒素製剤の局所注射(ボトックス注射)を選択していました。しかし、水道水イオントフォレーシス療法は導入施設が少なく定期的な通院が困難である点や、ボツリヌス菌毒素製剤の局所注射には注射時の痛みを伴う点などもあり、新たな治療法の開発が期待されていました。

 このような状況のなか、2023年からは新たに抗コリン外用薬(一般名:オキシブチニン塩酸塩)が発売され、その効果が期待されています。

 生活の質が低下してしまう要因になる手の多汗症には、適切な診断と治療が重要となります。お悩みの方はお近くの皮膚科を受診してみてはいかがでしょうか。