過活動膀胱について
2024年4月26日号
土浦市医師会 林一誠(土浦ベリルクリニック)
皆さんこんにちは。土浦ベリルクリニックの泌尿器科担当の林です。当院は、都和にあり、内科(一般、 消化器、糖尿病、腎臓、循環器、呼吸器)、泌尿器科、透析科があります。令和 6 年 3 月に外来新棟が完成し、外来をリニューアルしました。
今回は泌尿器疾患のなかで最も多い「過活動膀胱」を解説します。過活動膀胱とは、急に強い尿意を感じ、場合によってはトイレにたどり着くまでに尿を 漏らしてしまうような状態を言います。中高年以降の方に多いですが、若年者にも見られることもあり、日本には推定1200万人の患者がいると言われています。
寒冷刺激やアルコール、カフェインを含む飲み物などにより症状が悪化することがあるため、そういった飲み物を避ける必要があります。
治療方法としては、まず内服による治療を行い、抗コリン薬あるいはβ3作動薬を服用します。内服による治療を 3 か月ほど行っても改善が見られない状態を「難治性過活動膀胱」と呼び、ボツリヌス療法や仙骨神経刺激療法が行われることがあります。ボツリヌス療法は、膀胱の内側から膀胱壁にボツリヌス毒素を20か所注射する治療です。効果は永久 的ではないため、3~6か月ごとぐらいで繰り返す必要があります。また、仙骨神経刺激療法は仙骨神経の近くにリード(電気の流れる細い線)とそれに接続するジェネレーター(電気を発生する小さな装置)を手術により、お尻の皮下に埋め込み、電気刺激の強さなどを調節して症状を緩和させる治療です。
頻尿や尿の我慢が厳しいなどの症状のある方は、 一度、泌尿器科を受診してみてください。