ロコモ予防としての下肢機能温存手術
2022年11月15日号
土浦市医師会 田中健太(野上病院)
運動器の障害により移動能力が低下した状態を、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」といいます。骨・関節・神経の障害によって生じる痛みやしびれ、さらには筋力の低下や関節のかたさなどが、歩行能力の低下を招き、「ロコモ」になってしまいます。
「ロコモ」は生活活動や社会活動の制限に直結し、要介護状態や寝たきりなどにつながる状態です。筋トレやストレッチなど、適度な運動習慣が推奨されますが、すでに変形してしまった関節など、自分の努力だけではどうにもならないものもあります。膝や股関節、足関節などの変形性関節症で歩行能力が低下したり、外反母趾や扁平足で靴が履きにくくなる人はたくさんいらっしゃると思います。
昔は「手術は危険だからできるだけ我慢する」という考え方がありましたが、近年では「ロコモになったら健康寿命が保てない」という考えのもと、痛みで活動量が低下し、体力が維持できなくなってしまうその前に、「元気にはつらつと生きていくための手術」が選択肢の1つになっています。
高齢になっても、スポーツや旅行、仕事などを楽しんで生きていくために、体力があるうちに変形性関節症や外反母趾・扁平足などを治療することで、「下肢機能を温存」して、元気に長生きを目指しましょう。