新型コロナウイルスワクチンについて
2021年10月15日号
土浦市医師会 廣田浜夫(ひろたこどもクリニック)
まず、新型コロナウイルスの基礎知識です。 新型コロナウイルス感染症の正式名は COVID-19と言います。coronavirus disease 2019(2019年に発生した新型コロナウイルス感染症)を略した言葉でWHOが命名しました。その原因ウイルスは SARS-CoV-2( severe acute respiratory syndrome-coronavirus-2)です。
現在、世界で2億人以上が罹患し400万人以上が死亡しています。この近代化された世界で経験したことのない危機的な状況が起こっています。そして、この状況を打開するためには今のところ日常生活を制限することと、ワクチンを接種することしかありません。しかし、日常生活を制限することは我慢の限界に近づいてきているようです。ですから、今はできるだけ多くの人がワクチンを接種することが重要なのです。
現在、日本で接種されているワクチンはmRNAワクチン(ファイザーとモデルナ)とウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ)の3種類です。これらは今までに使用されたこのない、全く新しいタイプのワクチンです。今までのインフルエンザなどの不活化ワクチンは、ウイルスを構成する一部のタンパク質を注射し、人間の免疫を動かしていました。今回のワクチンは人の細胞の中にウイルス遺伝子の一部( mRNA やそれを変換させたDNA)注射します。それを人の細胞の中に移動させ、人にウイルスタンパク質を作らせ免疫を働かせるものです。人の免疫応答は大きく分けて液性免疫と細胞性免疫があります。今までの不活化ワクチンでは液性免疫しか働きませんが、新しいワクチンでは液性免疫に加えて細胞性免疫も働きます。よってこの効果は70~95%と驚くほど高いものです。変異株のデルタ株でも60%以上の有効性があるといわれています。
すでに、多くの人にワクチンは接種されており安全性も高いことが認められています。(ただし長期的な副反応については残念ながらまだ不明な点があります。)現在、デルタ株の感染が主流となり、世界でも再び感染者が増加傾向にあります。また、残念ながら今後も変異株が次々と現れることが予想され、まだまだ収束が見えない状況です。
ワクチンを接種するかどうかは、本人または保護者の選択に任されますが、自分と自分の大切な人は自分が守るという考えが大切なのではないでしょうか。