コロナを含めた肺炎について
2020年11月17日号
土浦市医師会 小貫拓哉(中高津クリニック)
肺炎は感染症(病原微生物が原因)か、そうでないかに分かれます。通常、「肺炎」といえば、感染症の肺炎を指します。時折耳にする「間質性肺炎」は、感染症ではありません。感染症の肺炎は、細菌性(バイ菌)、ウイルス性、その他に分かれます。細菌性肺炎は、結核を除いて、ほとんどが「ヒトーヒト感染」を起こしません。総合病院では、大部屋で入院しているくらいです。特効薬は抗菌薬(抗生物質)になります。細菌性肺炎の約25%は肺炎球菌が原因といわれ、「肺炎球菌ワクチン」にて予防が可能です。
コロナ(新型コロナウイルス)の登場まで、ウイルス性肺炎は稀でした。コロナ患者さんの大半は、カゼ症状(発熱、鼻水、ノドの痛み、咳など)なので軽症です。ただし、「軽症コロナ」は、普通のカゼやインフルエンザとの区別がつきません。コロナの特徴として「嗅覚/味覚の障害」が有名ですが、頻度は高くないようです。
コロナの問題点は、感染力(あっという間に伝播する)と致死率(約4%)です。10月末現在、ワクチンと特効薬は未完成です。今のところ、感染予防(ソーシャルディスタンス、マスク、手洗いなど)を徹底するしかありません。コロナ検査の代表はPCRです。抗原検査や抗体検査もありますが、正確性はPCRに劣ります。カゼ症状で医療機関を受診した際には、PCRについて相談されてもよいでしょう。予防接種(ワクチン)は、間接的にコロナ対策に役立ちます。今季は、例年以上にインフルエンザ予防接種をお勧めします。
コロナに感染しても、大半の患者さんは自然治癒します。重症化しやすい人たち(高齢者、心疾患、慢性肺疾患、糖尿病、がんの合併など)に感染させないことが重要です。もし、コロナ感染が確認された場合には、慌てず、保健所や医療機関の指示に従ってください。繰り返しになりますが、今後も「感染予防の徹底」をお願いします。