新型コロナウイルス(COVID-19)感染症について
2020年10月15日号
土浦市医師会 福田潔(県南病院)
コロナウイルスは、かぜのウイルスとして4種類が知られていましたが、2002年SARSコロナウイルス、2012年MERSコロナウイルスとして2回の新型コロナ感染症の流行があり、今回2019年12月、中国武漢を中心とした3回目の新型コロナウイルス(COVID-19)感染症として全世界に流行しました。日本では2020年2月1日より「指定感染症」となり、2類感染症に分類されました。そのため、結核と同様に蔓延防止のため措置入院扱いになっています。当初は、軽症、無症状であっても感染症指定病院への入院となり、医療現場の崩壊の危機が叫ばれましたが、現在は、病状により指定ホテルや在宅での措置も行われています。
症状としては、発熱、全身倦怠感をはじめ通常のかぜ症状や下痢ですが、特徴的に言われているのが、嗅覚、味覚障害です。かぜによる鼻水、鼻づまりでも、匂いがわからなかったり味がおかしいことはありますが、そうした症状がないにもかかわらず、嗅覚味覚障害が出現することが特徴です。それによって感染が判明した人もいます。また、から咳や軽い息切れでも重症な肺炎であったりするのも特徴です。インフルエンザの症状にも似ており、今年の冬に、発熱をともなうかぜでは鑑別がむずかしいかもしれません。
診断は、喀痰や鼻粘膜液、唾液中のウイルスの遺伝子を検出するPCR法が一般的ですが、その他に抗原検査などもあります。
COVID-19に特化した治療薬の開発はまだですが、エボラ出血熱で使われているレムデシベルが現在認められた唯一の薬剤です。また、多くの重症症状がサイトカインストームと言われる過剰免疫反応によるものと考えられ、それに対するデキサメサゾンと言うステロイド薬が認可されています。ウイルス感染に対しては、何よりも感染予防のためのワクチンの開発が望まれるところです。