在宅医療
2020年7月15日号
土浦市医師会 阪口志帆(ホームクリニックなぎの木)
最近一人で出かけられなくなったり、病院に通うことが大きな 負担になったりしていませんか。その理由は人それぞれで、転倒して動けなくなった、難病や癌終末期で動くだけで体力が削られる、老いが進んで眠っている時間が長くなった、認知症により待合室で待つことも難しい・・・。そういった方に、自宅や施設へ医師が伺い、計画的に診察することを訪問診療といいます。
病院に長く入院できない流れにともない、全国的に在宅療養に目が向けられるようになりました。在宅療養には介護的側面と医療的側面があります。介護的側面をサポートするのが、通所・訪問介護サービス、リハビリなどで、ご本人様らしい生活を長続きさせます。医療的側面をサポートするのが、訪問診療や訪問看護、訪問薬剤などで、病院に通院、入院しなくても、治療、褥瘡や尿管交換などの専門的処置、緩和治療を提供できます。訪問診療を提供する医師は、両側面へのアドバイザー的役割を担っています。そして、必要であれば総合病院と医療連携を行い、患者様への切れ目ない支援を行います。患者様の状態によっては、24時間365日の緊急対応や在宅看取りを訪問看護とともに提供している医師もいます。
私自身、認知症の義母をみているので、在宅療養の良さと厳しさを知っています。家族だからこそ、大変なことも多いものです。私たち医療スタッフは、在宅療養を充実することで、ご本人様の安全安楽はもちろん、ご家族様の負担軽減を目指せます。そして笑顔が増えることで、ご本人様らしい生活を長続きさせることができると考えています。病院では食べなくなってしまった方が、「カレーを食べたんですよ」とご家族様が嬉しそうにお話をされたり、ずっと入院していた独居の方が我が家でくつろぐ姿をみると、こちらも嬉しくなります。
お困りの方は、市役所やケアマネージャー、かかりつけ病院などにご相談ください。