肩の痛みでお困りの方へ

2020年4月15日号
土浦市医師会 平塚圭介(神立病院)

 肩の痛みは、江戸時代に「凡、人五十歳ばかりの時、手腕、骨節痛むことあり、程すれば薬せずして癒ゆるものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう。また、長寿病という。」と言われ、肩が痛いのは「時間はかかるけれど、我慢すればいつか治る、仕方がない。」と言われてきました。

 夜、寝ていても肩の痛みで目をさましてしまうことや、肩が痛くて挙げられず医療機関を受診しても、五十肩と言われて「いつか治る、むしろやることがない」と言われたり、知人に相談しても「お気の毒に。」と言われて我慢されておられる方が非常に多いと外来診療をしていて感じます。

 「肩が痛い」「肩が挙がらない」原因にも、肩自体が悪い場合や、頚椎の病気の場合や内科疾患、例えば心臓の疾患や肺がんなどの可能性も考慮しなければなりません。整形外科を受診されて内科の病気がみつかることも少なくはありません

 一般的に多い疾患としては、五十肩(肩関節周囲炎)や肩腱板断裂が挙げられます。いわゆる「四十肩、五十肩」の特徴は、肩の動きが悪くなり痛みをともなうことで、放置すると肩関節を包む「関節包」と呼ばれる袋が硬くなり、肩が挙げられなくなることがあります。一方、肩腱板断裂では肩を挙げるときに力が入りにくくなったり、動かすときに痛みを感じたり、痛みで良質な睡眠が得られなくなることがあります。

 診察では、まず腕が挙げられるか、肩周りの筋肉の痩せがあるかなどを調べ、超音波検査やレントゲン検査、MRIなどを用いて損傷の有無を診ます。診断後の治療として、保存加療としての服薬治療やリハビリテーション加療がありますが、保存加療で改善が難しいと判断した場合は手術加療となります。

 治療の方法は病気や発症からの時期により、薬での治療が主となる時期や、運動療法が中心となることもあります。状態によっては速やかに手術治療が必要な場合もあります。肩の治療を行っている医療機関を受診されて治療を開始することが重要だと思われます。