脳卒中(脳血管障害)について

2019年10月16日号
土浦市医師会 塚田篤郎(県南病院)

 日本人の死亡原因を見ると、1位はがん、2位は心疾患、そして3位が脳卒中で(4位の肺炎と入れ替わった)、脳卒中は命に関わるだけでなく、罹患すると寝たきりとなることも多いのが問題です。脳卒中とは脳が原因で突然倒れるという意味で、脳血管障害とは同義語です。予防医学や医療の進歩、食生活の変化などにより脳卒中の内容も変化しています。ここでは脳卒中の基礎や対処法について述べます。
 脳卒中は出血性疾患と、血流が足りなくなる虚血性疾患に大別されます。前者にはくも膜下出血と脳出血があり、後者にはTIA(一過性脳虚血発作)と脳梗塞があり、さらに、ラクナ梗塞・アテローム性梗塞・脳塞栓(心原性塞栓)に分けられます。脳は解剖学的に複雑で機能も多岐に渡っており、非常に難しいので、ここでは典型的な症状と対処法について要点のみ述べます。

①くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂で起こり、経験したことの無いような突然の頭痛と嘔吐が多く、運動麻痺はありません。重症であれば意識障害をともないます。手術治療を要しますので、直ちに脳外科を受診するか救急車を呼んでください。
②脳出血は頭痛、嘔吐、運動麻痺、感覚障害、意識障害などにて発症し、高血圧があることが多く見られます。症状が強ければ救急車を呼んでください。
③ラクナ梗塞・アテローム性梗塞は頭痛がなく、突然の運動麻痺、感覚障害で発症します。速やかに脳外科・神経内科での受診をお勧めします。
④脳塞栓(心原性塞栓)最近増えている問題の疾患です。③と同様に突然の運動麻痺で発症しますが、大血管が突然閉塞するため(急性主幹脳動脈閉塞)、より重症で、意識障害や共同偏視(両眼が同じ方向を向く)などを合併することが多い疾患です。心房細動などの不整脈による心内血栓が飛んで起こります。血栓溶解療法やカテーテルによる血栓回収術の適応があり、速やかに専門病院での受診が必要です。