梅毒について
2019年4月16日号
土浦市医師会 石川和明(石川クリニック)
梅毒をご存知でしょうか?実は、決して過去の病気ではありません。1999年から2012年までは年間の患者数が500~900例でしたが、2013年から増え始め、2017年には5820例と、44年ぶりに5000例を超えました。男性では20~50歳代、女性は20~30歳代に多いのですが、決して性産業従事者や利用者だけではありません。
梅毒は、梅毒トレポネーマという病原体の感染により発症します。主に性的接触により粘膜や皮膚から感染します。キスで感染することもありますので、日常の性的行動で誰でも感染する可能性があります。感染後数週間して、感染した場所に一時的に「しこり」や足の付け根のリンパ節が痛みもなく腫れたりしますが、その後は感染してからの時期により症状が異なり、症状が消える時もあります。
梅毒にかかった女性が妊娠すると、先天梅毒と言い、胎盤を通してお腹の中の赤ちゃんに感染し、死産、流早産や胎児に重篤な異常が見られることがあります。
梅毒は抗菌薬で治ります。しかし、一度治療してもまた感染することもあり、再感染の予防が大事です。
梅毒に感染しているかどうかは、血液検査で調べます。検査は、皮膚科、産婦人科、感染症専門の科、泌尿器科などの各医療機関や、保健所で受けられます。県内の保健所では、梅毒に限らず、エイズ(HIV)やクラミジアなどの性感染症や肝炎に関する検査、相談を無料・匿名で受けられます。検査は県内どこの保健所でも受けられますが、事前に電話での予約が必要です。ただし、性感染症の種類によっては、感染後すぐには検査しても判明せず、2~3か月してから判明することもあるので、検査を受ける時期には注意が必要です。
古くて新しい病気、それが梅毒です。梅毒に限らず、ほとんどの性感染症はコンドームの適切な使用によりリスクを減らすことができるのです。