子宮頚がんとヒトパピローマウイルス

2009年11月17日号
土浦市医師会 島袋剛二(土浦協同病院)

子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんです。日本では年間約8,000人が新たに子宮頸がんを発症 し、約2400人が死亡しています。また、最近では20~30歳代の発症が急激に増加しています。「がん」というと若い方には関係ないと思われがちですが、子宮頸がんは若い女性の妊娠や出産の可能性、尊い命を奪うがんなのです。

 子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続的な感染が主な原因となって起こります。HPVの子宮頸部への感染は、ほとんどが性交渉によるものです。HPVに感染しても、必ずしも子宮頸がんになるわけではありません。ほとんどの場合、感染したHPVは体の外へ排除されてしまいます。しかし、一部の人では感染が続き、がんが引き起こされるときがあります。海外では、HPVの感染を防ぎ子宮頸がんの発症を予防するワクチンが発売されていて、日本でも近々発売される見込みです。ワクチン接種と定期的な検診を共に行うことで、子宮頸がんを激減できると期待されています。

 子宮頸がんは、初期には症状がほとんどなく、自覚症状があらわれるころには進行していることが少なくありません。しかし、子宮がん検診を受けることで、前がん病変(がんになる前の正常でない細胞)あるいはごく初期のがんの段階で発見することが可能です。ごく初期のがんなら、子宮を温存したまま治療でき、妊娠や出産も可能です。面倒だから恥ずかしいからとためらわず、積極的に受診しましょう。