B型肝炎ワクチンについて

2016年4月15日号
土浦市医師会 廣田浜夫(ひろたこどもクリニック)

 B型肝炎とはB型肝炎ウイルス(HBV)の感染によって起こる肝臓の病気です。3歳以下のお子さんが感染した場合、HBV持続感染者(HBVキャリアー)となり、一部の人は急性肝炎⇒慢性肝炎⇒肝硬変⇒肝臓癌がんへ進行します。
 また、大人や大きなお子さんは、一過性の感染(1〜2%は劇症肝炎となります)で済むことが多いのですが、最近は欧米型のウイルス(ジェノタイプA型)による急性肝炎が増加しており、そのうち約10%は慢性肝炎となります。そして、一部の人はHBVキャリアーとなってしまいます。また、一過性感染で治癒したと思われた人でも、ごく少量のHBVが肝臓の細胞内に残り、免疫が低下した時などに再び肝炎を引き起こします。
 最近、日本で行われた調査では、小児のHBV感染者は、約0.025%でした。しかし、その約10倍程度の人が過去に、一過性のB型肝炎に感染していることが分かりました。要するに、小児の日常生活の中で、家族や保育園などの集団内で、今まで考えられていた以上にB型肝炎に感染していると言う事になります。B型肝炎ウイルスは、血液だけでなく、汗、涙、唾液、尿からでも感染する危険があるのです。
 世界保健機関(WHO)では、B型肝炎ワクチンを、赤ちゃん全員に接種するワクチン(ユニバーサルワクチン)として推奨しています。その結果、世界の94%の国で定期予防接種となっています。日本でも、ようやく今年の10月からB型肝炎ワクチンが定期予防接種となることが決まりました。
 今考えられている接種スケジュール(厚生労働省案)は

①予防接種対象年齢は出生後から生後12ヶ月まで。(開始は平成28年10月から)②標準的には生後2か月から接種を実施する(生後2か月、 生後3か月、生後7〜8か月の3回接種)。家族内にHBVキャリアーの人がいて一緒に生活しているなど、感染のリスクが高い場合には出生後すぐの接種もできます。 ③使用するワクチン製剤は遺伝子型A型(ヘプタバックス)、 C型(ビームゲン)どちらのウイルス由来の製剤も選択可能。 というものです。そして、平成28年4月生まれからのお子さんが補助の対象になります。
 B型肝炎ワクチンは、乳児期に接種したほうが、抗体獲得率が高くその効果は一生期待できるものです。そして、究極的には肝臓癌の予防にもなりま す。全額が補助されますので、是非みなさんB型肝炎ワクチンを積極的に接種してください。そして、定期予防接種から外れてしまったお兄ちゃん、お姉ちゃんたちにも、自費とはなりますが、B型肝炎ワクチンの接種をお勧めいたします。