眼底検査でわかること

2008年1月16日号
土浦市医師会 助川祥一(助川眼科クリニック)

 脳より視神経が目に入ってきます。この入った部分を視神経乳頭といい、右下写真(眼底のようす)中央のドーナツ状の部分です。ここを見ますと緑内障という病気があるかないかがわかります。緑内障は、40歳以上の20人に1 人いるとされるかなり多い病気です。現在、日本人成人の失明原因のトップとなっている恐ろしい病気です。病気の進行度合いはかなりゆっくりなので相当進んでからでないと視野狭窄などの自覚症状はでません。しかし、いったん悪くなってしまった視野は、いかなる治療法によっても回復させることは不可能です。
 次に、この視神経乳頭より放射状の線が見えます。これが血管です。眼底写真では血管の状態を直接観察することができます。血管壁の状態、つまり動脈硬化の程度や血圧の程度がおおよそわかります。これは体全体の血管にも当てはまります。動脈硬化が強いと脳梗塞や狭心症、心筋梗塞などの血管疾患の可能性が高くなります。
 次に、眼底写真中央やや左側のやや色の濃い部分、この部分を黄斑部といい、物を見る中心で一番感度のいい部分です。最近この部が変性する病気が増えています。黄斑変性症といい欧米では成人の失明原因のトップの病気です。視力低下や物の歪みなどの症状がでますが、まだまだ有効な治療法が確立していないのが現状です。
 そのほか、脳腫瘍による脳圧の上昇や糖尿病の合併症の有無、血液疾患の有無など、いろいろな病気がわかります。
 すべては早期発見、早期治療が大切です。40歳以上の方は、毎年1回は眼底検査をすることをお勧めします。

眼底のようす