肺炎について

2005年10月18日号
土浦市医師会 鈴木敏之(おおつ野こどもクリニック)

 気道(空気の通り道)は、上気道と下気道に分類されます。鼻からのどまでが上気道、その先の気管、気管支、細気管支、肺までが下気道です。上気道炎は、一般的にいうところの風邪かぜで、原因は約99%がウィルスです。鼻水、くしゃみ、のどの痛みなどが主な症状です。下気道炎は、気管支炎、細気管支炎、肺炎でウィルスや細菌により起こります。肺炎になると、発熱、咳、痰せき、たん、呼吸困難(チアノーゼ、多呼吸など)の症状になります。
 肺炎の原因微生物は、年齢によって違いがあります。冬に流行するRSウィルス感染は、大人は鼻かぜで済んでしまうのですが、乳幼児では細気管支炎となり気道閉鎖を生じ、入院や人工呼吸管理が必要になることがあります。
 幼児から小・中学生に多いのがマイコプラズマ肺炎です。発熱、長びく咳が主な症状で、聴診上あまり呼吸音の変化がないのが特徴です。治療は、マクライド系の抗生物質が有効です。
 これから冬になると、インフルエンザウィルスが活動性を高める低温・低湿度の環境になります。特に、湿度が40%~50%の時期に大きな流行がみられます。老人は、免疫力が低下していることが多く重症化しやすいため、肺炎の合併症が致命的になることがあります。子どものインフルエンザ肺炎はほとんどが自然に治ってしまいますが、インフルエンザ脳症といって、痙攣けいれん、意識障害が進行し、命を落としたり、後遺症を残してしまう合併症が問題となります。
 昔から「風邪は万病のもと」といいます。風邪を予防し、重大な合併症を未然に防ぐよう心がけましょう。

①うがい・手洗い:手や顔、衣類などにウィルスは付着します。電車のつり革、公衆電話の受話器などには非常にたくさんのウィルスがいるため、帰宅後にうがいをし手や顔を洗うことは効果的です。
②マスク:ウィルスの侵入を約3割は減らすことができます。吐く息でマスクが湿ってくるため、呼気に湿度を与え温度を上昇させることからのどの保護につながります。
③保湿:寒いと鼻やのど、気管の血管が収縮して線毛の動きが鈍くなり、ウィルスが侵入しやすくなるため、保湿は有効です。
④加湿:インフルエンザウィルスは湿った環境に弱いため、湿度を70%~80%に保つのが良いでしょう。
⑤ワクチン:65歳以上の方には、公費でインフルエンザワクチン接種料の一部補助があります。10月20日(木)より接種可能ですので、ぜひ受けるようにしましょう。