高血圧について
2005年1月18日号
土浦市医師会 小原芳道(小原内科医院)
寒さが厳しくなる季節ですが、血圧が気になる方も多いと思います。血圧は、1月に最高値を、8月に最低値をとることが一般的ですが、特に高血圧患者、高齢者、女性、肥満者などで季節変動が大きいと言われています。
高血圧は、脳卒中や心筋梗塞等の動脈硬化疾患の危険因子としても最も重要なものです。高血圧は、収縮期圧140mmHg、拡張期圧90mmHg(140/90)以上というのは一般に良く知られています。この血圧値は、検診や医療機関で測定された随時診療所血圧といわれるもので、これを基に診断、治療が行われています。
しかし、家庭血圧測定装置が普及してくると(現在、我が国では3000万台と言われています)、随時診療所血圧と家庭血圧との不一致が明らかとなってきました。家庭血圧については、岩手県大迫町(おおはさまちょう)で1986年以来行われてきた大迫研究が根拠となり、随時診療所血圧140/90に対応する家庭血圧は125/80が妥当とされました。
病院でだけ高血圧を示す白衣性高血圧は、随時血圧が常に140/90以上で、家庭血圧が125/80未満と定義されます。検診時、高血圧を指摘される人にこの白衣性高血圧の方も含まれていますので、高血圧と言われたら家庭での血圧測定をお勧めします。白衣性高血圧の方も、長期的には持続性高血圧に移行すると言われていますので経過観察が必要です。
そこで、家庭血圧はどの様に測定するかについてですが、日本高血圧学会の指針があります。測定部位は上腕で、座った状態で1-2分安静にして、朝は起床後1時間以内で、排尿後、朝食前、服薬前に、夜は入浴後30分以内は避けて就寝前に、測定頻度は朝、晩各1回(1回目の測定値を記録する)とし、長期間測定して平均します。その評価は、135/85以上を確実な高血圧とし、高圧治療開始基準となります。
高血圧は無症状が多いので、気が付かないうちに動脈硬化が進行してしまいます。まず、自分の血圧値を知ることが重要ですので、検診などをぜひ利用してください。