鼻アレルギー

2004年2月17日号
土浦市医師会 辻久茂(天川クリニック)

 いよいよ花粉症の季節到来です。昨年の夏は記録的な冷夏だったため今年の花粉の飛散量はきわめて少ないと予測されています。といっても花粉症をもっている人にとっては、つらい季節であることに変わりはありません。
 鼻アレルギーには、「スギ」花粉症に代表される季節性のものと、チリ、ダニなどによる通年性のものがあります。近年花粉症の発症が、だんだん若年化傾向にありますが、これは通年製アレルギー性鼻炎の発祥が小児期に極めて高いことが原因のひとつと考えられています。そのほか大気汚染、居住環境(エアコンの普及)食生活の変化(高蛋白・高脂肪)なども影響しています。また、喘息との関係も重要で、喘息患者さんの3分の2がアレルギー性鼻炎を持っており、特に小児喘息では、4人に3人が合併しており、小児期のアレルギー性鼻炎の予防と治療は喘息の発症予防という面からも大変重要です。治療は専門医に相談するとして、チリ、ダニ、花粉などの抗原を除去すること、回避することは予防と抑制に大切なことで、家庭内で充分対処できると思います。
 具体的には、(1)掃除機は廃棄循環式のものを使い、1回1㎡に20秒、週2回以上掃除する。(最近チリ、ダニなどの微細塵を大きくまとめて除去する薬剤スプレーも市販されています。)(2)ソファー、カーペットなどの織物、畳はできるだけやめる。(3)ベッドマット、ふとん、枕には、めの細かいカバーをつける。④部屋の湿度50%、温度20~25℃に保つ。
 スギ花粉の回避は、(1)花粉情報に注意。(2)飛散の多い時の外出は控える。(3)窓や戸を閉めておく。(4)外出時メガネ、マスクをつける。(5)花粉の着き易い毛織物を着用しない。(6)帰宅時、衣服や髪をよく払い入室、洗顔、うがい、鼻をかむ。このような環境調整をすることが大きな予防効果になり、すでに罹っている人の症状改善にも大切なことです。
 このように、自分自身や周りの人々の注意や努力がアレルギーの発祥を抑えるために、とても重要な役目をします。しかし100%というわけではありませんから、アレルギー体質で花粉症を持っている人は罹ってしまってからではなく早めに、専門医に相談して、薬の服用などの処置を始めましょう。
 仕事や家事、日々の生活を憂うつに過ごす事から逃れるために、有効な方法を良く知り、実行することをお奨めします。