インフルエンザの流行に備えて
2003年11月18日号
土浦市医師会 松本和美(松本内科医院)
インフルエンザはインフルエンザ・ウィルスA型あるいはB型により起こされ、他の風邪に比べ症状が激しく伝染性の強い感冒です。ウィルスは患者から咳やくしゃみにより空中に飛び散り、それを吸い込むか、患者の手や患者が触れたものに付いている分泌物に直接触れることによって口や鼻、目から感染します。手洗いが感染防止に重要なのはこのためで、石鹸を使って流水で洗い落とすのがコツです。
インフルエンザは感染を受けてから症状がでるまでの期間(潜伏期間)が1~4日と短く、急にでる高い熱、全身の関節や筋肉の痛み、強い倦怠感が特徴で、この短い潜伏期、強い症状から他の症状の似た感冒と区別します。
しかし、インフルエンザの流行期には他の風邪も流行することがあり症状が似ていることも少なくなく、その場合には鼻汁の検査をしてインフルエンザかどうかを調べ、陽性ならば治療を始めますが、たとえ検査が院生でもインフルエンザが強く疑われる場合も治療を始めることになります。
インフルエンザ・ウイルスで起きる肺炎や合併症として細菌の感染で起きてくる肺炎を起こすと重篤になり、そのため特に高齢者や乳幼児が命を落とすことが多く、また最近では発症から数日で半数が死亡する致死率の高い乳幼児のインフルエンザ脳症が注目されています。このため国の政策として、この世代のワクチン接種が強く勧められています。また半日でも早い時期の治療が重要になっています。
インフルエンザ・ワクチンは一時その有効性が疑問視されたこともありましたが診療の現場では80%以上に効果があるというのが実感ですし、有効性も実証され、副作用も殆どなく安全ですので是非受けてほしいと思います。
インフルエンザの治療薬としてA型に効くアマンタジンという薬に加え、最近、A型、B型の両方に効く新しい薬が開発され実際に使用されています。