子供のスポーツ障害 骨端症(炎)

2003年5月15日号
土浦市医師会 伊野隆夫(伊野整形外科医院)

 子供の骨(主に手足の長い骨)には、骨端発育線と呼ばれる部位があり、ここで主に骨の長さの成長が行われるため、構造的に大人の骨との際立った違いが見られます。この骨端発育線は、他の部位に比べ力学的に弱いため、スポーツなどの慢性の負荷により、しばしば痛みや疲労性骨折の様な状態の原因になったりします(骨端線離開などと言われます)。
 これらを総称して骨端症(炎)と言い、従来より多くの部位に報告され、たくさんの人名病名が付けられてきました。特に脛骨関結節(膝頭のやや下)のそれはオスグット病と呼ばれ有名です。その他、野球では肩や肘にサッカーや剣道では踵などに多くみられます。
 これらは、明らかな離開が無ければ、多くはスポーツ量を少なくし、安静を保つことにより症状は軽快して行くものです。また、筋肉が骨に付着している部位であることが多いので、ストレッチングや各種の温熱療法も、有効です。またオスグット病では、脛骨結節への負荷を軽減する為の特殊なバンドを使うこともあります。
 しかし、これらは多くが部活動に関連して発症していることが多く、ただ一方的に安静を指示するのではなく、保護者や学校、端党指導者らと連絡を取り、お互いの立場を尊重しながら出ないと実効ある治療はできません。
 また一方、これら骨端発育線は骨の悪性腫瘍の好発部位であり(特に膝関節周囲)、もちろん発生頻度は極めて少ないものの見逃しは絶対に赦されない性質のものですから、スポーツ障害という先入観にとらわれずに、専門医により確実に診断を確定しておく必要があります。