生活習慣病と肝臓病

2014年11月18日号
土浦市医師会 山田幸太(土浦ベリルクリニック)

 肝臓は、強く大きく、働き者の臓器です。とても辛抱強く、少々のダメージではへこたれません。肝臓は500以上の仕事をこなし、主要な働きは「代謝」「エネルギーの貯蔵」「胆汁の生成」です。肝臓の働きのうち、「代謝」「エネルギーの貯蔵」は生活習慣病と大きく関わっています。その中の一つが脂肪肝です。
 近年、脂肪肝が30代~40代を中心に増えつつあります。脂肪肝とは、食べ過ぎや飲み過ぎによって肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった肝臓の肥満症ともいえる状態です。食事で摂った脂肪は、小腸で脂肪酸に分解され、肝臓に送られます。しかし、糖分や脂質を摂り過ぎて、肝臓に送られる脂肪酸が増えると、肝臓で脂肪酸から作られる中性脂肪が肝臓に溜まります。また、アルコールの飲み過ぎでも肝臓に中性脂肪 が溜まります。皮下や内臓に中性脂肪が溜まると肥満になりますが、肝臓に溜まると脂肪肝になります。健康な肝臓でも3~5%の脂肪を含んでいますが、5~10%を超えた場合を脂肪肝と言います。
 脂肪肝の原因は、肥満、アルコールの摂り過ぎ、糖尿病がほとんどを占めています。また、他の内分泌疾患や代謝性疾患、ある種の薬剤摂取などが原因となることもあり、まれですが、過度の栄養低下を原因とする場合もあります。症状はほとんどありません。検診や偶然の機会の血液検査などで肝障害を指摘され、診断されることの多い疾患です。
 脂肪肝の原因である肥満を解消するには、ダイエットが必要です。ダイエットには、低カロリー、低脂肪食でバランスの良い食事が必要です。食べ過ぎの方は、食事量を減らすことが重要で、また適度な運動も必要です。アルコールを飲み過ぎないことも大事です。
 脂肪肝は、動脈硬化をはじめとするさまざまな生活習慣病を引き起こす恐れがあります。定期的に検診を受け、肝臓の数値をチェックしながら、脂肪肝になる前にきちんとした食事・生活習慣を心がけましょう。