統合失調症
2013年5月15日号
土浦市医師会 塚原靖二(土浦厚生病院)
◆どんな病気なの?
統合失調症は、脳内のドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の異常により、精神に変調をきたす病気です。発症に男女差はなく、生涯で120人に1人はこの病気になる可能性があり、決して稀な病気ではありません。主に思春期に発症し、その後、寛解と増悪を繰り返します。初期の症状としては、何もせずに一日ぼんやりと過ごす、感情の変化が乏しい、会話が減る、人付き合いが苦手になるなど兆候があり、その後、「皆が悪意を持っている」、「ささやき声が聞こえる」など幻覚妄想が出現します。
統合失調症は3つのタイプに分けられます。妄想型は、幻聴や被害妄想が主体です。緊張型は突然の興奮状態や昏迷状態になります。解体型は、幻覚症状は目立たず、意欲低下・感情反応が乏しく、社会適応が困難となります。いずれのタイプも長期の経過をたどるため、家族関係の悪化や就労困難、経済的な問題を抱え、ご本人やご家族の負担は多大です。
◆治療法は?
統合失調症の治療は、薬物療法と非薬物療法に大別されます。薬物療法は、脳内のドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の働きを調整する抗精神病薬や抗不安薬、睡眠導入薬が用いられます。抗精神病薬は幻覚・妄想に効果があり、現在は副作用の少ない第二世代抗精神病薬が主流です。統合失調症の方は、ご自分が病気であるという認識が低く、服薬を自己中断し、病状が悪化しがちです。薬の効能・効果についてご本人・ご家族に充分説明し理解していただくことが必要です。薬物以外の治療法としては、精神療法や作業療法などがあります。精神的に混乱している場合、悩みや症状について話を聴くだけでも、精神的に安定します。早く回復するためには、心身の休養をとる事、きちんと治療を受けるように話します。ストレスが契機となって病状が悪化することが多いので、ストレスへの対処の仕方を改善してゆくことが大切です。また、精神保健福祉法や障害者総合支援法などの公的支援サービスを利用することも有効です。