成人の肺炎球菌ワクチンについて
2012年1月17日号
土浦市医師会 青木弘道(あおき内科クリニック)
肺炎は高齢者にとって死に至ることもある病気です。
第二次大戦中に抗生物質が発明されて以来、肺炎で死亡する人は激減しました。しかし、65歳以上では依然として肺炎による死亡率が高い状態です。また、慢性呼吸器疾患、腎不全、肝機能障害、糖尿病等のある人にとっても肺炎は怖い病気です。
肺炎を起こす病原菌の一番は、肺炎球菌です。
原因菌の分かった肺炎のじつに40%が肺炎球菌による肺炎でした。その他の原因菌は、インフルエンザ菌、マイコプラズマなどありますが、肺炎球菌が断トツの1位です。
敵は身内にあり。
この肺炎球菌、じつはほとんどの成人の口腔内に雑菌の一つとして住み着いています。口の中にいる分には悪さをしませんが、誤嚥(ごえん)によって菌が肺に入ると肺炎を起こします。特に65歳以上になると、ものを飲み込む力が弱くなり、誤嚥を起こしやすくなります。
1回のワクチン接種で5年間有効です。
すべての肺炎を予防できるわけではありませんが、一番頻度の高い肺炎球菌による肺炎を予防し、重症化を防げます。近年、抗生物質の効きにくい肺炎球菌が増えていますが、このような抗生物質の効きにくい肺炎球菌肺炎の予防には特に有効です。ワクチン接種後約3週間で肺炎球菌に対する免疫ができ、5年以上免疫力が持続します。
今シーズンは東北地方の被災者にワクチンが優先的に提供されます。
1月は関東地方でワクチン不足が予測されますが、2月になると供給が追いつくと見込まれます。最寄りの医療機関にワクチンを予約される場合も、一時の猶予をご了承ください。